男性が育児休業を取得したとき、会社に支給される助成金についての解説

スポンサーリンク
男性 育児休業 助成金 助成金

近年はイクメン、イクボスとった言葉が日常的に使われるようになり、男性が育児に参加することが当然のことになってきました。

イクボスとは?
男性の従業員や部下の育児参加に理解のある経営者や上司のことです。

実際に、世の働く男性たちも、仕事と育児を両立していきたいと考えている人が多くなっています。

仕事と育児のバランスアンケート
(連合「男性の家事・育児に関する実態調査2019」より)

このように、62.7%の人が仕事と育児を両立することが理想だと、回答をしています。ただ、実態は約半分の30.4%の人しか、仕事と育児を両立できていません。

男性の育児と仕事の両立を進めていくことは、女性の働き方にも良い影響を与え、日本全体として労働力が増大することにつながります。

そこで、この記事でご紹介するのは、男性の育児休業等の取得を支援する会社に対して支給される助成金「両立支援助成金:出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」についてご紹介していきます。

なお、従業員個人に対する育児休業に対する支援はこちら。
「育児休業給付金はいつまでもらえる?延長の条件は?」

両立支援助成金:出生時両立支援コースとは?

男性労働者が、育児休業や育児のための休暇を取得しやすい、職場風土づくりに取り組み、実際に男性労働者が、育児休業や休暇を取得した場合に支給される助成金です。

両立支援助成金:出生時両立支援コースの具体的説明

出生時両立支援コースには、2つの種類があります。

1.男性労働者の育児休業の取得
2.育児のための休暇(育児目的休暇)の導入・取得

1と2共通の支給基準

1.育児休業等の育児支援に関する制度を、育児介護休業法に沿って、就業規則や育児介護休業規程に規定し、導入していること

2.一般事業主行動計画を策定し、労働局長に届け出ていること(申請時に行動計画が有効であること)。また、一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知させていること

3.育児休業または育児目的休暇の取得日から、申請日までの間、雇用保険被保険者(雇用保険に加入している従業員)として継続雇用していること

どちらの助成金を受給するにしても、上の1.~3.をクリアすることが、必要となります。

男性労働者の育児休業の取得の概要

男性労働者が育児休業を取得しやすい風土づくりのための取り組みを行い、実際に男性労働者が、育児休業を一定期間以上取得した場合に支給されます。

男性労働者の育児休業の支給基準

1.男性労働者が育児休業の取得を開始する日の前日までに、男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土づくりの取り組みを行っていること。

取り組みの例:

①男性労働者の育児休業取得に関する管理職や労働者に対する研修を行う
②男性労働者を対象にした育児休業取得制度の利用を促進するための資料を配布する
③経営者が男性の育児休業取得を促進するための呼びかけを行い、
厚労省のイクメンプロジェクトサイト内の「イクボス宣言」や
「イクメン企業宣言」によって社外にも発信する
④育児休業を取得した男性労働者の事例を集め、社内で周知する

小さな会社でも比較的取り組みやすいです。

2.雇用保険に加入している男性労働者が、連続5日以上(大企業は14日以上)の育児休業を取得したこと

育児休業は、子どもの出生後8週間以内(子の出生日を含めて57日間以内)に開始する必要があります。

3.育児休業取得の直前、職場復帰時に在宅勤務をしている場合は、必ず在宅勤務制度について周知されており、業務日報等により勤務実態(勤務日、始業・終業時刻、業務内容)が確認できること

男性労働者の育児休業の個別加算

育児休業の取得を後押しする取り組みを、育児休業の取得を開始する日の前日までに、次の取り組みをすべて行った場合、助成金額が加算されます。

1.育児休業等の育児支援に関する制度について、対象の男性労働者に個別に知らせること
※書面やメールによって知らせる必要があります。口頭は×

2.対象の男性労働者に対して、育児休業の取得を促すための個別面談の実施

3.対象の男性労働者の上司に対して、対象の男性労働者に育児休業の取得を促している旨を説明

4.上司に対しても、1.の書面等を明示する

男性労働者の育児休業の助成額

※以下の金額は中小企業の場合です。

1人目の休業取得 :57万円(生産性要件に該当72万円
1人目の個別加算 :10万円(生産性要件に該当12万円

2人目以降の取得:

(1)育休5日以上   14.25万円(生産性要件に該当18万円)
(2)育児14日以上 23.75万円(生産性要件に該当30万円)
(3)育児1ヶ月以上33.25万円(生産性要件に該当42万円)

2人目以降の個別加算:5万円(生産性要件に該当6万円)

・育休が5日以上の場合は、休業中の所定労働日が4日以上

・育休が14日以上または1ヶ月以上の場合は、休業中の所定労働日が9日以上
必要です。

例えば、土・日・祝が所定休日の会社で、育休を5日取得した場合
取得期間中に、土・日・祝の連休(3日間)が含まれいると、所定労働日は2日となり、助成金の要件からはずれます。

支給上限:初年度は9人まで、翌年度以降は1年度10人まで

「生産要件」については、こちらの記事を参考にしてください。
「生産性要件とは?助成金のもらえる金額が増える!対象の助成金は?」

支給申請までの流れ

1.育児休業等の育児支援に関する制度を、就業規則や育児介護休業規程に規定する

2.一般事業主行動計画を策定し、労働局長に届け出る
  一般事業主動計画を公表し、労働者に周知させる

3.育児休業の開始日の前日までに、男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土づくりの取り組みを実施する

(個別加算を受ける場合)育児休業の開始日の前日までに、育児休業の取得を促進する取り組みを実施する

4.男性労働者が、子が生まれてから8週間以内に、連続5日以上の育児休業を取得する

5.育児休業開始から5日を経過した日の翌日から2ヶ月以内に申請
※大企業は14日

育児休業

育児のための休暇(育児目的休暇)の導入・取得の概要

育児目的休暇制度を新たに導入し、育児目的休暇制度を取得しやすい職場風土づくりの取り組みを行い、実際に男性労働者が、休暇を一定日数以上取得した場合に支給されます。

育児のための休暇(育児目的休暇)の支給基準

1.育児目的休暇の制度を新たに導入し、就業規則や育児介護休業規程に規定し、労働者への周知を行い、実際に利用者が出たこと

2.育児目的休暇の取得日より前に、育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりの取り組みを行っていること

取り組みの例

①男性労働者の育児目的休暇制度取得に関する管理職や労働者に対する研修を行う
②男性労働者を対象にした育児目的休暇制度の利用を促進するための資料を配布する
③経営者が男性の育児目的休暇制度取得を促進するための呼びかけを行い、
厚労省のイクメンプロジェクトサイト内の「イクボス宣言」や
「イクメン企業宣言」によって社外にも発信する
④育児目的休暇制度を取得した男性労働者の事例を集め、社内で周知する


3.雇用保険に加入している男性労働者が、子の出生前6週間から出生後8週間の間に、合計で5日以上(大企業は8日以上)の育児目的休暇を所定労働日に取得していること

4.育児目的休暇取得の直前、職場復帰時に在宅勤務をしている場合は、必ず在宅勤務制度について周知されており、業務日報等により勤務実態(勤務日、始業・終業時刻、業務内容)が確認できること

育児のための休暇(育児目的休暇)の助成額

28.5万円(生産性要件に該当36万円

1事業主あたり1回まで
育児休業と違い、会社に対して1回だけの支給です。

支給申請までの流れ

1.育児休業等の育児支援に関する制度を、就業規則や育児介護休業規程に規定

2.一般事業主行動計画を策定し、労働局長に届け出る
  一般事業主動計画を公表し、労働者に周知させる

3.育児目的休暇の開始日の前日までに、男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりの取り組みを実施する

4.男性労働者が、出生前6週間から出生後8週間の間に、合計で5日以上の育児目的休暇を取得する

5.育児休業開始から5日を経過した日の翌日から2ヶ月以内に申請
※大企業は14日

育児休業および育児目的休暇中の給与について

育児休業・育児目的休暇ともに無給でも問題ありません

本助成金の対象となる育児休業は、出生後8週間以内の取得が要件となっていますので、雇用保険の育児休業給付金の活用ができません。

まとめ

主要な支給基準は記載しておりますが、細かな基準もありますので、実際のパンプレット等を確認してください。

育児休業にしろ、育児目的休暇にしろ、長期間での取得が要件になっていないので、小さな会社でも比較的扱いやすい助成金ではないでしょうか。

今までは有給休暇を取得して、育児のサポートしていた男性従業員がいるかもしれませんので、有給休暇ではなく、育児休業や育児休暇の取得を促進していくきっかけに、助成金を活用してみるのも一つの方法です。

育児休業の基本的な説明
「育児休業中の社会保険料免除や男性の育児休業など育児休業の基礎を解説」

他の両立支援に関する助成金
「両立支援助成金育児休業等支援コースの説明」