育児休業中の社会保険料免除や男性の育児休業など育児休業の基礎を解説

スポンサーリンク
育児休業 社会保険料免除 労働法

少子高齢化が急速に進んでいる状況から、将来的に年金や医療・介護などの社会保障制度が崩壊してしまうという最悪の状況を回避するために、仕事と育児のバランスを取りながら、安心して子どもを生み育てられる環境を整えることが、社会的な課題となっています。

そのための施策として、育児休業に関する制度の充実がはかられています。

育児休業期間中に社会保険料が免除になるのも、その一つです。

また、社会保険料の免除だけでなく、育児休業を男性にも取得しやすくする仕組みや、育児休業中の給付金の支給など、様々な支援が実施されています。

また、育児に関する法律の改正は、数年に1度行われており、小さな会社にとっては、最新の状況を把握するのに手間がかかります。

そこで、この記事では最新の育児休業やその他育児に関する給付金などについてもお伝えしていきます。

育児休業とは?

原則子どもが1歳になるまで、従業員の申出によりの取得が可能な育児のための休業制度です。
(一定の要件に該当する場合は、子どもが1歳6ヶ月までOR2歳になるまで延長が可能)

育児休業は、男性や有期契約の従業員(パートタイマーなどで雇用契約期間に定めのある従業員)でも取得が可能となっています。

また、父母ともに育児休業を取得する場合は、子どもが1歳2か月になるまでの間で、1年間を上限に育児休業を取得することもできます。(「パパ・ママ育休プラス」後述)

育児休業が取得できない従業員

育児休業はすべての従業員が取得できるわけではなく、一定の要件に該当する従業員は、育児休業を取得することができません。

1.有期契約の従業員(パートタイマーなどで雇用契約期間に定めのある従業員)のうち、次の①か②に該当する人は、育児休業を取得することができません。
①入社1年未満の場合
②子どもが1歳6ヶ月(※2歳)になる日までに契約期間が満了し、契約が更新されないことが明らかな場合
※子どもが2歳になるまで育児休業を延長しようとする場合
2.労使協定を締結した場合は、全従業員のうち、次の①~③のいずれかに該当する人は、育児休業を取得することができません。
①入社1年未満の従業員
②育児休業を申し出た日から1年以内(※6ヶ月以内)に雇用関係が終了することが明らかな従業員
③1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
※子どもが1歳6ヶ月または、2歳になるまで育児休業を延長しようとする場合
就業規則や育児介護休業規程への規定はあるものの、労使協定を作成、締結していないというケースがよくあります。

育児休業の期間

育児休業

1歳までの育児休業取得

原則:育児休業を開始した日から子どもが1歳になる日の前日まで

ただし、女性と男性によって育児休業を開始できるタイミングが異なります。

女性の場合

産後休業(出産後8週間)終了後に、育児休業の取得を開始することができます。

男性の場合

配偶者の出産予定日から育児休業を取得することができます。

出産予定日よりも子が早く生まれた場合・・・実際に生まれた日から
出産予定日よりも遅く生まれた場合・・・出産予定日から

1歳2ヶ月までの育児休業取得(パパ・ママ育休プラス)

夫と妻がともに育児休業を取得し、次の3つの要件を満たす場合、子どもが1歳2ヶ月になるまでの間に、最長で1年間(女性の場合は、産後休業を含む)の育児休業を取得することができます。

1.配偶者が、子どもが1歳になるまでに育児休業を取得している
2.本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前である
3.本人の育児休業開始予定日が、配偶者が取得している育児休業の初日以降である

パパ・ママ育休プラスの取得例

パパ・ママ育休(厚生労働省「パパ・ママ育休プラス、パパ休暇リーフレット」より)

このパパ・ママ休暇プラスも、この次に説明するパパ休暇も、制度の存在自体が、小さな会社に浸透しているかというとそうではないです。

この記事によって、1社でも多くの方に知ってもらい、活用が進んでいけば幸いです。

パパ休暇

通常、育児休業は1人の子どもに対して1回ですが、夫が、妻の出産後8週間以内に育児休業を取得・終了していれば、その後、子どもが1歳になるまでにもう一度、育児休業を取得できる制度です。

パパ休暇の取得例

パパ休暇(厚生労働省「パパ・ママ育休プラス、パパ休暇リーフレット」より)

短期間の育児休業であれば、小さな会社であっても、従業員さんに育児休業を利用してもらうことは、可能ではないでしょうか?

短期間であっても、男性が育児休業を取得した場合に、助成金が支給されることがあります。
詳細は、こちらの記事をご確認ください。
「男性が育児休業を取得したとき、会社に支給される助成金についての解説」

1歳6ヶ月または、2歳までの延長

従業員本人か配偶者が、子どもが1歳(※1歳6ヶ月)になる前の日に育児休業を取得していて、次のどちらかに該当する場合は、育児休業期間を1歳6ヶ月(※2歳)まで延長できます。
※は2歳まで延長する場合

1.保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合
2.配偶者が、死亡や病気・ケガ、離婚などの事情によって、子どもを養育することが困難になった場合

1.2.は1歳6ヶ月までの延長、2歳までの延長どちらの場合も同じです。

育児休業期間中の給与

育児休業期間中の給与は無給で問題ありません。

雇用保険に加入していて、一定の条件を満たしている従業員には、育児休業給付金が支給されます。

育児休業給付金についての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
「育児休業給付金はいつまでもらえる?延長の条件は?詳細をお伝えします。」

育児休業期間中の社会保険料免除

育児休業中の社会保険料は、従業員負担分、会社負担分ともに免除となります。

社会保険料の免除を受けている期間も厚生年金の加入資格は継続し、将来、年金額を計算する際には保険料を納めた期間として扱われます。

免除される社会保険料は、育児休業の「開始月」から「終了前月」(終了日が末日の場合は、終了月)までの分となります。

社会保険料の免除を受けるには、「健康保険(協会けんぽ)・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」日本年金機構に届け出なければなりません。

育児休業が終了予定日前に終了した場合、期間を延長する場合は、同じ様式で、終了または延長の届け出を行わなければなりません。

育児休業のほか法律で定められた育児支援制度

・時間外労働の制限
・短時間勤務等の措置
・所定外労働(残業)の制限
・深夜業の制限
・子の看護休暇

上記の育児休業以外の育児に関する措置の説明
「育児や介護の短時間勤務の期間や休暇・残業免除制度について解説します。」

子の看護休暇については、2021年1月から制度が変更になりますので、こちらでご確認ください。
「看護休暇・介護休暇が時間単位で取得可能に!改正点や規定例をご紹介」

・育児休業等に関するハラスメントの防止措置
ハラスメント防止に関しては、こちらでご確認ください。
「職場でのマタハラやイクハラへの対策が法律で義務化されています。」

まとめ

少子化は日本全体の問題で、「人口減少=国力の低下」ですので、企業として従業員の育児支援を積極的に行っていただけると幸いです。