就業規則の届け出に必要な意見書の記入例や様式、注意点をご紹介

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就業規則 意見書 記入例 労働法

この記事は、
「労働基準監督署に就業規則を提出しようと提出方法を調べていると、何やら意見書というものが必要らしい。」

「意見書とはどのようなもので、どのように従業員に記入してもらったら良いのかわからない。なにか記入例のようなものはないのか?」

とお困りの方向けに、就業規則の提出に必要な意見書の具体例な記入例と、意見書を作成する際に注意すべきことをお伝えしていきます。

就業規則 意見書の記入例(PDFファイル)

就業規則 意見書のひな型(Wordファイル)

就業規則を届け出る際の意見書とは?

常時10人以上の従業員(パートやアルバイトを含む)を雇用している事業場(※)は、就業規則を作成したうえで、労働基準監督署に届け出ることになっています。

その際に、「意見書」を添付することが労働基準法で定められています。

10人以上の従業員を雇用しているかどうかの判断は、会社単位ではなく、事業場単位(支店や営業所、店舗)で行ないます。

例1:
本店で12人、支店で5人の従業員を雇用している場合
本店は、就業規則の届け出が必要
支店は、就業規則の届け出は不要
例2:
本店で12人、支店で10人の従業員を雇用している場合
本店、支店ともに就業規則の届け出が必要
この場合は、それぞれの事業場単位で意見書も必要
ちなみに、労働保険の継続一括処理をしていても、原則として、事業場ごとに就業規則の届け出は必要となります。

意見書は、「就業規則を会社が一方的に作って、届け出をしたんじゃないですよね?」という確認のための書類だと考えてもらうと良いかと思います。

ですので、意見書を書くのは当然、従業員ということになります。

ただし、従業員一人ひとりに意見書を書いてもらうのは大変でしょうということで、従業員の代表者1名が書けば良いことになっています。

ところで、この従業員の代表は誰でも良いというわけではありませんので、注意をしてください。

意見書を記入する従業員の代表に注意

注意点

従業員代表とは?

従業員の過半数以上が入っている労働組合がある場合はその労働組合、過半数労働組合がない場合は、従業員の過半数を代表する従業員のことです。

従業員数が20人以下の会社で、労働組合があることはほとんどありませんから、現実的には、従業員の過半数を代表する従業員(過半数代表者)ということになります。

この過半数代表者は、会社が任命したり、指名することはできません。従業員によって、民主的な方法で選ばれた人でなければ、過半数代表者として認められません。

民主的な方法の例:
「就業規則の意見書を提出する者を選出する」などの目的を明らかにしたうえで実施される投票や挙手などによる選任や、従業員同士の話し合いによる選任など。

また、労働基準法41条第2項の管理監督者は、従業員代表とはなれません

労働基準法41条第2項の管理監督者とは?
1.会社の経営方針や重要事項の決定に参画し、労務管理上の指揮監督権限を有していること
2.出退勤等の勤務時間について裁量を有していること
3.賃金等について一般の従業員よりもふさわしい待遇がなされていることこの3つすべてに該当する従業員が管理監督者となります。

小さな会社で、この管理監督者に当てはまる人は、ほぼいないと言えますが、注意が必要です。

従業員の過半数代表者についての詳しい説明は、こちらの記事を参考にしてください。
「36協定、就業規則などの過半数代表者とは?過半数代表者の選び方は?」

意見書に異議や意見を書かれたら?

経営者の方から、「意見書に異議や意見・要望などを書かれた場合、就業規則を修正しないといけないのか?」というご質問を受けることがよくあります。

仮に異議などが意見書に書かれた場合であっても、就業規則を修正する義務はありません

法律では、あくまでも“従業員の意見を聞きなさい”と規定してあるだけで、その意見を就業規則に反映させることまでは求めていません。

ですので、もし意見書に異議などが書いてあっても、そのまま労働基準監督署に提出して、なんら問題ありません。

手続き上は問題ありませんが、労使間のコミュニケーションという点では、話し合ったほうが良いのは言うまでもありませんが・・・。

意見書を書いてくれなかったら?

私の経験上は一度もないのですが、従業員が意見書を書いてくれないケースもあります。

この場合は、従業員に一定の期間を設けて意見書の記入・提出を求め(書面で通知するのが良い)、それでも記入してくれない場合は、その事実を時系列で書面にして、意見書の代わりに届け出ます

労働基準監督署に届け出るときはコピーをとろう

労働基準監督書に届け出るときは、原本1部とコピー1部を届け出ましょう。

ちなみに、就業規則を届け出るときには、意見書のほかに、「就業規則(変更)届」も必要です。こちらも原本とコピー1部ずつ用意します。

就業規則(変更)届の様式(PDFファイル)

就業規則(変更)届の様式(WORDファイル)

また、就業規則やその他の規程の表紙にも押印してもらうことが一般的です。
ですので、就業規則やその他の規程も2部ずつ用意します。

「就業規則の表紙テンプレートを様々なデザインから ダウンロード」

原本は労働基準監督書に保管されますので、コピーに労働基準監督署の受付印を押してもらい、提出したという証明を残しておきます。

助成金の申請などで就業規則を添付する場合には、この受付印が必要になります。

労働基準監督署によっては、その場でコピーをとって押印をしてくれることもあります。

ちなみに届け出は、郵送でも可能です。
この場合は、受付印押印後のコピーを返送してもらうために、返信用の封筒に切手を貼って同封しておきます。

就業規則の意見書に関する罰則

従業員の意見を聞かなかった場合は、30万円以下の罰金が課せられます。

また、意見書を会社が勝手に作成した場合は、有印私文書偽造にあたりますので、絶対にしないでください。

まとめ

私の経験上は、意見書で従業員さんと揉めたということはありませんが、労使関係があまり思わしくないときの意見書には、特に注意が必要です。

「過半数代表者の選出に会社が関与した。」、「会社が意見を聞いてくれなかった。」と言われないように慎重に進めていきましょう。