マイカー通勤の申請書・誓約書のひな形とマイカー通勤のリスクをご紹介!

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マイカー通勤申請書・誓約書 労働法

東京から地方への転職を希望する人が増えていますが、地方では都市部を少し離れと公共交通機関が少なく、通勤に自家用車を使うことが多々あります。

弊所がある神戸市でも中心部を離れると、車通勤は当たり前で、実際に弊所の関与先企業さんでも、多くの従業員さんが車通勤をされています。

いつも車通勤についてお伝えすることがあるのですが、その際に、多くの社長さんが「えっ、知らなかった。それは、やったほうがいいな。」と言われることの一つが、マイカー通勤の申請書と誓約書を従業員さんに出してもらうことです。

申請書を出してもらうことで、従業員さんが自動車保険に加入しているどうかをチェックしたり、免許証の有効期限を確認することができます。

なぜ、そのようなことが必要なのかを、マイカー通勤にひそむリスクとあわせてお伝えしていきます。

従業員がマイカー通勤途中で事故の加害者になったら?

従業員が通勤途中に交通事故を起こして加害者になったとしても、会社に責任はないだろうと多くの社長さんが思われています。

しかし、場合よってはその事故の責任が会社にまでおよぶことがあります。
(民法の使用者責任、自賠責法の運行供用者責任を問われる)

例えば、会社がガソリン代相当の通勤手当を支給していたとして、会社の責任を認めたケースがあります。(福岡地裁 平成10年8月5日)(神戸地裁 平成10年5月21日)

この他にも、会社がマイカー通勤を禁止しながらも、会社の駐車場を使わせるなどマイカー通勤を黙認してたいケース(最高裁 平成元年6月6日)や、作業現場までの通勤で、マイカーを奨めるような発言があったケース(東京地裁 平成24年1月18日)で、それぞれ会社の責任を認めています。

これらの判例から考えると、
「会社が通勤手当を支給たりするなどして、ガソリン代を負担している」
「表向きはマイカー通勤を禁止していても、実際はマイカー通勤を黙認している」
といった場合は、会社にも事故の責任が課される可能性があります。

ちなみにこれらの例はあくまでも、マイカーを通勤にだけ利用していたケースで、マイカーを多少なりとも業務に使っていて、通勤途中に事故が起きた場合は、会社の責任が問われる可能性は非常に高いと言えます。

・役所や備品の買い出しに社員が自分の車を使う
・帰宅途中に、会社の郵便物をポストに投函する
このような車の使い方も、マイカーの業務利用と言えますので注意が必要です。

マイカー通勤事故による一番の問題はお金

なぜ、従業員の通勤途中の事故で会社にも責任がおよぶかと言うと、一番はお金の問題です。

そもそも通勤途中とはいえ、交通事故を起こした場合の賠償責任は、事故を起こした従業員が負担するものです。

一般的には、従業員が加入している保険会社をとおして、被害者と示談交渉が実施されるので、会社がこの事故の賠償に巻き込まれることはありません。

ただし、これは事故を起こした従業員が任意の自動車保険に加入していた場合です。
なかには、下図を見ていただくとわかりますが、約1割の人が自動車保険に加入していません

(2019年度)
出典:三井ダイレクト損保ホームページ
https://www.mitsui-direct.co.jp/car/guide/new/report/

もし、自動車保険に加入していない従業員が、事故を起こしてしまい、被害者が重症を負ったり、死亡した場合はとても従業員個人だけで、その損害を賠償できません。

被害者の年齢や収入の状況などによっては、損害賠償の金額が億単位になることもあります。

ですので、被害者や遺族からすると、お金がない本人に変わって「会社が責任をとってください。」ということになってしまうんです。

仮に会社に責任がおよばなくてもリスクはある

もし、会社に責任がないとされたとしても、その判決がでるまで訴訟に巻き込まれますし、事故を起こした従業員は、被害者や遺族の対応への対応や訴訟に追われます。

そうなると、当然、精神的負荷が強くかかりますので、会社の戦力として計算ができなくなるおそれがあります。

このようなマイカー通勤のリスクを軽減するために、会社としては対策を打っておく必要があります。

マイカー通勤のリスクを予防するために

一番の対策は、マイカー通勤を許可しないことですが、会社の立地条件などから、マイカー通勤を許可せざるを得ない企業もたくさんあります。

その場合は、マイカー通勤は本当に必要な従業員のみを対象とし、さらに、以下の3つのことは必ずおこなってください。

マイカー通勤を許可制にし、マイカー通勤申請書・誓約書を提出してもらう

全従業員がマイカー通勤をしている場合でも、マイカー通勤申請書・誓約書は提出してもらいます。
申請書・誓約書には以下の書類を添付してもらいます。
・運転免許証のコピー
・自動車保険証(自賠責、任意)のコピー
できれば原本確認をしたうえで、コピーを提出してもらうほうがよいです。

また、少なくとも年に1回は免許証と自動車保険の加入状況を確認しましょう。

マイカー通勤申請書兼誓約書ひな形(コメント付き)
マイカー通勤申請書誓約書(WORDファイル)

自動車保険(任意保険)への加入を義務づける

マイカー通勤を希望する従業員には、自賠責保険だけではなく、任意の自動車保険への加入を義務づけます。

就業規則にマイカー通勤に関する規定を明記する

就業規則のなかで、マイカー通勤をする場合は、自動車保険のへの加入義務について、明記しておきましょう。(マイカー通勤規程を別途作成する方法でもOK)

マイカー通勤に関する規定例(最低限度の定めです)

第○条(マイカー通勤)
自動車通勤の許可の基準は次のとおりとする。

1.運転経験が 3 年以上あり、過去 1 年間交通事故及び重大な違反を起こしていないこと

2.通勤のための公共交通機関がない、あるいは、公共交通機関を利用した場合以上の利便性が明白であること

3.自動車損害賠償責任保険に加入していること

4.以下の条件を満たした自動車保険(任意)に加入していること
①対人賠償保険 無制限
②対物賠償保険 5,000万円

1.は会社の状況に応じて変更、削除してください。
4.対人賠償は必ず無制限にすることをおすすめします。対物賠償は社内で検討して金額を決定してください。

自転車やバイクも自動車と同様の水準で対策をとってください。最近は、自転車保険への加入を条例で義務づける地方自治体が増えているので、会社としても対応を進めていきましょう。

従業員に自動車保険の加入を義務付けてよいのか?

最後に、もし、従業員から「会社が自動車保険への加入を義務づけてもよいのか?」と言われたら・・・

加入を義務づけても問題はありません。

自動車保険に加入することを会社が義務づけていた事に対して、

任意保険に加入して損害賠償能力を高めた者に対し構内乗り入れを許し、然らざるものに対しこれを拒否することは決して合理性を欠くものといえず、この点において本件規程を無効とすべき理由はない。(最高裁 昭和53年12月12日)

という最高裁の判断が示されています。
任意保険に加入した従業員だけに、マイカー利用を認めることは合理性があります。

まとめ

・マイカー通勤には、リスクがあることを認識し、そのリスクを回避するための対策をとっておくことが必要です。

・マイカー通勤のリスクを回避するために必ず行うべき3つのこと
1.マイカー通勤を許可制にし、マイカー通勤申請書・誓約書を提出してもらう
2.マイカー通勤をする場合は、任意保険への加入を義務づける
3.マイカー通勤に関する規定を明文化する

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