美容室やアパレル、歯科医院など、女性スタッフの比率が高い業種の企業では、女性従業員が妊娠・出産などを期に退職をしてしまうというケースが多々あります。
そのような事情もあいまって、慢性的な人員不足に悩まされている企業やクリニックが多いです。そこで近年注目されているのが、退職したスタッフを再雇用するという採用方法です。
ブランクはありますが、勝手知ったる職場に復帰することで、新規採用のスタッフを育てるよりも期間が短くすむこともありますし、顔見知りのスタッフがいることで、職場に溶け込むのもはやくなるといった利点があります。
そのような退職者の再雇用を積極的に取り入れていきたいという企業向けに、ピッタリの助成金が両立支援助成金再雇用者評価処遇コースです。
そこで、この記事では両立支援助成金再雇用者評価処遇コースについて、助成金の説明および支給までの流れなどをご説明していきます。
両立支援助成金再雇用者評価処遇コースとは?概要を説明
妊娠や出産、育児、介護、配偶者の転勤または転居を伴う転職を理由に退職した者を、退職前の勤務実績等で評価する再雇用制度を周知し、実際に再雇用を行った場合に支給される助成金です。
両立支援助成金再雇用者評価処遇コースの具体的な説明
支給基準
1.退職者の再雇用制度について、明文化したうえで、労働者に周知していること。再雇用制度は、つぎのすべてに該当していること。
(1)再雇用の対象となる退職理由として、妊娠、出産、育児、介護、配偶者の転勤または転居を伴う転職が明記されていること |
(2)再雇用の対象となる年齢について、定年を下回る制限を設けていないこと |
(3)再雇用する際には、退職前の勤務実績等を評価し、処遇に反映させることを明記していること |
2.再雇用制度の施行後、対象者を契約期間の定めのない契約で採用し、申請までの間、雇用保険に6ヶ月以上継続加入していること
契約期間の定めのある契約で再雇用した場合でも、契約期間の定めのない契約に転換して6ヶ月以上継続雇用すれば対象になります。
3.育児休業・介護休業等に関する次の制度を、就業規則や育児介護休業規程に規定していること
(2)育児のための所定労働時間の短縮措置
(3)介護休業
(4)介護のための所定労働時間の短縮措置
最新の育児介護休業法にもとづく規定をしていれば問題ありません。
対象となる労働者
雇用保険に加入している従業員で、再雇用制度の施行後に採用された者で、つぎの1.~5.すべてに該当すること。
(1)妊娠、出産、育児、介護、配偶者の転勤または転居を伴う転職を退職理由として、再雇用制度を実施している企業、またはその関連企業を退職した者であること
関連企業については後述。 |
(2)再雇用制度を実施している企業、またはその関連企業を退職した日の前日まで、雇用保険に加入していたこと |
(3)退職日の翌日から原則1年以上経ってから再雇用されたこと。ただし、退職理由が消滅している場合はこの限りではない。例:家族の介護が必要なくなった場合 |
(4)契約期間の定めのない契約で採用し、申請までの間、雇用保険に6ヶ月以上(2回目は1年以上)継続加入していること |
(5)以下の4つに該当しないこと
①退職後から再雇用の日までに、再雇用制度を実施している企業、またはその関連企業に雇用されたことがある。(請負、委任関係にあった場合、関連企業から派遣、出向されていた場合も含む) ②退職後から再雇用の日までに、再雇用制度を実施している企業と密接な関係にある企業に雇用されていた。 ③再雇用制度を実施している企業の代表者または、取締役の3親等以内の親族である ④退職の際に、妊娠、出産、育児、介護、配偶者の転勤または転居を理由として、解雇や退職勧奨などの不利益な取り扱いを受けた |
助成額
金額は中小企業の場合です。
対象者1人目:38万円(生産性要件に該当48万円)
対象者2人~5人目:28.5万円(生産性要件に該当36万円)
支給上限:5人まで
生産要件については、こちらの記事を参考にしてください。
「生産性要件とは?助成金のもらえる金額が増える!対象の助成金は?」
支給申請までの流れ
1.就業規則に再雇用制度を規定し、制度を施行する
2.対象者を再雇用する(契約期間の定めのない雇用契約)
退職前の勤務実績等により評価、処遇がされている など
3.6ヶ月以上継続して雇用する
4.1回目の支給申請(6ヶ月を経過する日の翌月から2ヶ月以内)
5.1年以上継続して雇用する
6.2回目の支給申請(1年を経過する日の翌月から2ヶ月以内)
まとめ
主要な支給基準は記載しておりますが、細かな基準もありますので、実際のパンプレット等を確認してください。
退職前の勤務実績等を評価して処遇を行なうことから、あまりにもブランクがありすぎると、評価と現在の能力にギャップが生まれてしまう可能性がありますが、再雇用は小さな会社が人材を確保するのには有効な手段ですので、うまく活用していきたいところです。
他の両立支援に関する助成金
「両立支援助成金育児休業等支援コースの説明」