社会保険の新規加入手続きの仕方、新規適用届に記入する事業の種類は?

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社会保険新規加入手続き 社会保険

先日、法人成りをした起業家の方と健康保険や年金のお話をしていたなかで、「法人になると社会保険にしないといけないんですね。知りませでした。」とおっしゃられていました。

おそらくこの記事をお読みの方はご存知だと思いますが、法人になった以上は、たとえ代表取締役の自分一人しか在籍していなくても、社会保険に加入しなければなりません

ここで問題になるのは、社会保険の加入手続きをどうやってすればよいのか?ということです。

自分でやるのか?専門家(社会保険労務士)に依頼するのか?

結論から言えば、自分でできます。

社会保険労務士に依頼すると、3万~5万円程度の報酬の支払いが必要になります。

社会保険労務士の私が言うのもおかしな話ですが、社会保険の新規加入手続きは、3万~5万円を支払ってまでやってもらうようなことではないかなと・・・

もちろん、私は何度もご依頼をいただいたことはありますが・・・

しかし実際には、よほど時間が惜しい、本業以外のことは一切したくないという方以外は、自分で手続きすることは十分に可能です。

そこで、この記事では社会保険の新規加入の手続きをご自身でできるように、1から説明していきます。

なお、この記事は法人が、社会保険(健康保険は協会けんぽ)に新規で加入する場合を想定した記事となっています。

社会保険に新規加入する手続き(新規適用届)

会社として社会保険に加入する手続きを、新規適用といいます。

【健康保険・厚生年金保険 新規適用届】を会社の所在地を管轄する年金事務所に届け出ます。
実務的には、会社がある地域の事務センターに届け出ます。届け出は原則、郵送で行ないます。

新規適用届の様式は、日本年金機構のホームページでダウンロードできます。

新規加入手続きに必要な書類

法人の場合は、法人(商業)登記簿謄本の原本が添付書類として必要になります。
また、登記上の所在地と事業をおこなっている事業所(事務所)の所在地が違う場合は、事業所の賃貸借契約書の写しが必要です。

新規適用届の記入例

日本年金機構のホームページにも記入例がありますが、こちらの記入例くらいの内容がきちんと書いてあれば問題ありません。
新規適用届の記入例(PDFファイル)

新規適用届の書き方の説明

新規適用届の用紙にも記載がありますが、
「※」がついている欄は記入の必要がありません。

1.「イ 事業所の種類」
こちらの事業実態分類票から選んで記入します。
事業実態分類表(PDFファイル)

2.「⑪現物給与の種類」
食事や住宅など現物で支給するものがある場合は、○をしてください。

3.「⑫昇給月」
昇給月がすでに決まっている場合は、記入してください。設立当初は、きまっていないことが多いと思いますので、空欄のままで問題ありません。

4.「⑬賞与」
賞与の支給月が決まっている場合は、記入してください。

5.「⑭事業主の代理人」
無に○で問題ありません。

6.「⑰健康保険組合名」
空欄のままで問題ありません。

7.「⑱厚生年金基金番号」
空欄のままで問題ありません。

8.「エ 厚生年金基金名」
空欄のままで問題ありません。

9.「㉒~㉔法人番号」
法人を設立すると法人番号が付与されるので、その番号を記入します。登記簿謄本に記載されています。

10.「キ 給与形態、ク 諸手当の種類」
該当する給与形態と手当に○をしてください。

11.「サ 該当する人数の3社会保険に加入しない従業員について」
社会保険に加入しない人(役員、従業員)の情報を記入します。

12.「事業所所在地の略図」
年金機構の記入例では、手書きになっていますが、画像を貼り付けて印刷してもOKです。

これで新規適用届は完成です。
おそらく簡単に感じられたのではないでしょうか?

新規適用届は単独で届け出ることはできません。
従業員(役員を含む)の資格取得届を一緒に出す必要があります。
資格取得届についての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
「雇用保険と社会保険の加入条件や手続きの仕方をわかりやすく解説」

新規適用届を届け出たあと

年金機構で新規適用の手続きが終了すると、
「適用通知書」「資格取得確認及び標準報酬決定通知書」が送付されてきます。
(届け出をしてから、1~2週間後)

適用通知書には、「事業所整理番号」「事業所番号」が記載されており、今後の手続きに必要となりますので、大切に保管しておいてください。

資格取得確認及び標準報酬決定通知書には「被保険者の氏名や標準報酬月額」が記載されています。標準報酬月額によって、毎月給与から天引きする社会保険料の金額が決まります。

(参考記事)「標準報酬月額とは?標準報酬月額の計算や変更はどのようにするのか?」

なお、社会保険関係の書類は、法律上2年間の保存が義務づけられています。

この通知が届いてから、1~2日後に全国健康保険協会(協会けんぽ)から、健康保険証が送られてきます。

社会保険料の支払いを口座振替にしたい場合

ただ単に、社会保険の新規適用届を出しただけですと、社会保険料の支払いは、毎月年金事務所から送られてくる納付書で行わなければなりません。

ですので、毎月、金融機関で支払いの処理をする必要があります。

これが不便、面倒くさいと思われる場合は、
口座振替をすることも可能です。

口座振替をしたい場合は、
「健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」を作成し、口座がある金融機関に届け出ます。

口座振替納付申出書は、日本年金機構のこちらのページ
「ケース3:健康保険料・厚生年金保険料を口座振替によって納付したいとき」
でダウンロードできます。

新規適用届の届け出が遅れたとき、遡って届け出るとき

新規適用届の届け出期限は、事実が発生から5日以内となっています。
通常、法人の場合は法人を設立した日=事実が発生した日です。

社長1人の会社で、法人設立当初は役員報酬を支給しない場合などは、役員報酬を支給することが決定したことが、事実が発生したことになります。

現実的には、法人設立から5日以内に、新規適用届の添付書類である法人登記簿謄本を取得することができないので、5日以内という期限はあってないようなものです。

ですので、5日を超えて届け出をしても、なんら問題はありません

ただし、60日以上経過してから届け出をする場合は、一緒に届け出をする資格取得届に、賃金台帳や出勤簿等を添付することが必要となります。

また、役員の加入手続きをさかのぼる場合は、役員報酬額が決定されたことを証明する、取締役会議事録や株主総会議事録などの写しが必要です。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
「社会保険の加入手続きが遅れたときはどうする?ポイントは“60日”」

まとめ

法人を設立した場合は、必ず社会保険への加入をしなければなりません。

社会保険の新規加入の手続き自体は難しいことではありませんので、本業以外に時間を取られたくない、考えたくないという方以外は、社会保険労務士に依頼せずとも、独力で行うことができます。