2022年以降小さな会社の採用活動はどうする?

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「求人を出しても応募が来ない」
「以前よりも反応(応募)が少ない」
「有料の求人サイトに掲載をしたものの鳴かず飛ばず」

このような状況におちいっている、あるいは経験したことがある方、また、これから採用活動をはじめようという方はぜひ続きをお読みください。

このページでは、私が様々な書籍やセミナー、講座などで学んだこと、実際に企業さまをサポートするなかで経験したこと、感じたことをもとに、現時点(2022年1月現在)での今後の採用の動向、そして、小さな会社はどのように採用活動に取り組むべきかについてまとめてみました。

※今後、加筆修正の可能性があります。

結論を先にお伝えすると、「人が必要になったから求人をする」という従来の採用活動のやり方では、この先必要な人材を確保することは困難を極めることになります。

※困難を極めるという”優しい表現”をしていますが、実際には「無理」と言っていいかもしれません。

もはや、片手間の求人だけで採用を成功させるのは不可能だといってもよい状況になりつつあるということを認識していただきたいのです。

採用活動は、今まで以上に事業の継続と切っても切り離せないものとなり、資金繰りと同じくらい重要なものになってきています。

働き手が644万人不足するという衝撃の数字

2030年、働く人の人数が全業界で644万人不足するという予測がパーソル総合研究所から公表されています。

少子高齢化で、労働人口がどんどん減少しているという話を耳にされたことは少なからずおありかと思いますが、あと10年もしないうちに・・・、衝撃的な数字ではないでしょうか?

※コロナ前の試算結果のようですので、今試算すると多少数字が変わるかもしれませんが、それでもそこまで大きく変わることはないでしょう。

ある企業の経営者の方にこの数字をお伝えしたところ、「人手不足はわかっているけど、具体的な数字で見るとビックリしますね。」と驚かれていました。

このような状況ですから、業種業界の枠を超えて人材獲得競争はどんどんと激しさを増していくことになります。

人材獲得競争に敗れてしまえば、企業の成長が止まるのはもちろんのこと、最悪の場合には、企業の存続そのものが危機的な状況に陥ることになります。

このようなことをお伝えしていると、「日本人がダメなら外国人がいるんじゃないの?」とおっしゃる経営者の方がいらっしゃいますが、それもそう簡単な話ではありません。

外国人人材の採用も難易度アップか!?

外国人人材の活用にはいくつかの制度がありますが、最も有名なのが技能実習制度です。ご存知の方も多いと思います。

技能実習制度については、ニュースになることも度々あります。最低賃金以下で働かせていたとか、労働環境が悪い中で働かせていたとか、マイナス面のことばかり・・・。

このようなことから、技能実習制度は他国から非常に評判が悪い制度になってしまっています。

当然国としては、なんらかの対策を講じなければ、日本の信用度が下がり外国人が日本で働いてくれなくなるため、外国人人材の活用についてのルール変更が検討されています。

どのような変更かと言うと、技能実習制度を縮小(あるいは廃止)し、特定技能制度を拡大していく可能性が高いと言われています。

特定技能制度は、人材を確保することが困難な分野において、一定の専門性・技能を有している外国人を即戦力として受け入れていく制度のことです。

特定技能制度を利用する企業には、主に以下のような基準を満たすことが求められます。

(1)外国人と結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)が適切であること(例:報酬額が日本人と同等以上)
(2)受け入れ先企業が適切であること(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
(3)外国人を支援する体制があること(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
(「JITOCO」HPより一部抜粋)

このように小さな会社にとっては、ややハードルが高い基準もあります。
このことから、外国人採用もそう簡単にできるものではないということを認識していただければ幸いです。

ここまでは、今後の採用の大きな流れをご紹介してきましたが、ここからは、より具体的に現在の採用活動が、従来と比べてどのように変化しているかをお伝えしていきます。

採用活動の変化

従来の採用活動と現在の採用活動において大きく変わっていることを取り上げてみます。

(1)求人企業と求職者の立場が逆転
これまでは、企業が求職者を「選ぶ側」でしたが、今や求職者が会社を「選ぶ側」となっています。
このことは多くの企業さまが認識はされていると思いますが、実際の求人原稿などを拝見すると、まだまだ企業が「選ぶ側」という感覚が抜けていないものが多いです。
今の時代、求職者の目線で採用活動を行うことが必須となっています。
(2)紙媒体からWEB媒体が主流に
今や自宅にいながらスマートフォン一つで様々な求人情報が検索できる時代です。
ですから、WEBを活用した採用活動に対応しなければ、採用活動を放棄したに等しいといえるかもしれません。
ただし、小さな会社が大きな会社と同じ土壌(例:有名な求人サイトに掲載するなど)で戦うことはおすすめしません。
2021年からは、ハローワークの求人システムも大幅に変更され、WEBでの求人にも力を入れています。
(3)ライバルは全業界全業種
2030年に働き手が644万人不足するとお伝えしましたが、かつては同業他社との人の取り合いでしたが、今や業種業界を超えて人材獲得競争が行われています。
ですので、自社だけでなく業界全体の魅力を上げ、それを伝えていくことも必要不可欠な要素となりつつあります。
(4)大手企業が中途採用を強化
大手企業といえば、新卒一括採用が主な人材確保手段でしたが、終身雇用制度の維持が困難となっていることもあり、最近は中途採用に力を入れ、優秀で即戦力となる人材を狙っています。
(5)求職者が転職市場に出てこないことも
最近の傾向として、転職希望者が転職市場に出てこないケースが増えています。
どういうことかと言うと、在職時にすでに次の就職を希望する会社と何かしら関係性ができている、あるいは、SNSなどで見つけた会社に採用をしていないかを問い合わせたりする人が増えており、「求人サイトで仕事を検索」という従来のステップを踏まなくなっています
この他にも、リファラル採用(いわゆる紹介採用)を積極的に活用する会社が増えていることも一つの要因として考えられます。
これらの採用活動の変化は、一見すると小さな会社にとっては”厳しい”と映るかもしれませんが、これらの変化は小さな会社にとってはチャンスととらえることができます。

小さな会社は若手を狙う

小さな会社にチャンスが来ている理由は、大きくは2つあります。
価値観の多様化
かつての大企業至上主義が緩やかになっていています
当然、大きな会社のほうが知名度もあり有利なのはかわりませんが、
それでも
「ずっと地元で働きたい」
「地方に移住して働きたい」
「大企業で歯車の一つになりたくない」
「小さな会社でいろんな経験を積みたい」
といった様々な価値観を持つ人が増えていますし、
給料の額よりも、「休みが欲しい」「自分のやりたい仕事をしたい」「地元に貢献したい」といった価値観を持った人たちもいます。
実際、転職サイト「エン転職」のアンケートでは、企業選びで重視することは、「給料アップ(22%)」よりも、「希望の働き方ができるか(44%)」、「勤務時間・休暇休日・勤務地が希望に合うか(35%)」という結果が出ています。
会社が求職者から選ばれる時代にあっては、「あなたの価値観や、希望の働き方に合う会社は当社ですよ。」という発信ができる会社が、大小関係なく有利になるといえます。
ただし、給料の額は、同地域同業種同職種の水準をクリアしておく必要はあります。
WEB中心の採用活動
有料の求人サイトへの掲載や、大がかりな自社採用サイトの構築では大きな会社にはかないませんが、SNSや無料のWEB求人媒体が普及したことで、小さな会社が大金を使わなくても自社の存在を不特定多数の人に知ってもらえるようになりました。
例えば、SNSをとおして、社員数が5人の地方都市の会社に、東京の国立大学に通う大学生から「新卒採用やっていませんか?」という問い合わせが来て、試験の結果、採用に至ったという例があります。
この学生さんは、もともとこの地方都市の出身で、この企業の地域を発展させていきたいという想いに強く惹かれたそうです。
このように、若い世代の人ほど自分の価値観に合う会社を求めていたり、SNSを中心としたWEBの活用になれていることから、採用のチャンスにつながる可能性が高いのです。

小さな会社こそ常に採用活動を行う

「常に採用活動をした方がいいですよ。」
と私が経営者の方にお話すると、

「今は人が足りているから、求人する必要ないんですよ。」
という答えがよく返ってきます。

何もハローワークに求人を出す、有料の求人サイトに求人を掲載することだけが採用活動ではありません

先ほどの学生さんから問い合わせがあった企業さんも、ただ単に自社のホームページやハローワークに求人情報を掲載していただけではありません。(そもそも新卒者向けの求人はありませんでしたが。)

この企業さんは、求人をしていないときでも常に自社のホームページやSNSをとおして、自社の情報を発信するなど採用につながる活動をされていたんです。

それを見た学生さんが、「この会社で働きたい。」と思って問い合わせをしてくれたというわけです。

また、「いい会社があったら転職してもいいかな」と思っているだけで、特に転職活動をしていない人(潜在的な転職希望者)は530万人近くいると言われています。

絶対的に働く人の人数が不足する時代にあっては、積極的に転職活動をしている人だけではなく、この潜在的な転職希望者にもアプローチをしていかなければなりません。

そのためには、WEBはもちろんですが、アナログ的な手法も取り入れて、様々な取り組みをしていく必要があります。

小さな会社は知名度で劣るからこそ、常に採用活動をして色んな人に会社の存在をアピールしておかなければならないのです。

この取り組みはすぐに成果がでることはありませんが、これをやっている会社とやっていない会社では、2030年にはどれくらいの差が出るか・・・、人材獲得競争に勝ち抜ける確率が高い会社はどちらでしょうか?