最低賃金の計算方法や対象とならない賃金とは?【最低賃金の基礎を解説】

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最低賃金の計算方法 労働法

近年は、「最低賃金1,000円」を合言葉に、毎年のように最低賃金が引き上げられています。

2020年はコロナ禍の影響があり、据え置きやわずかな引き上げとなっていますが、今後も全地域1,000円を目指して引き上げが続いていくことは間違いありません。

最低賃金の引き上げに伴って注意しないといけないのが、知らない間に従業員の給与が最低賃金を下回ってしまうとい事態です。

実際に私が関与させていただく際に、給与を確認してみると、最低賃金を下回っているといったケースがごくたまにあります。

最低賃金を下回っていると、その差額が未払いの賃金として積み上がっていってしまい、労働基準監督署の調査で発覚した場合や、従業員からの訴えがあった場合は、当然その支払いが必要になります。

一気に多額のお金が必要になり、会社のキャッシュフローに悪影響が出る可能性があるので、しっかりと最低賃金のチェックをしておきましょう。

この記事では、最低賃金の基礎的な知識をお伝えするとともに、最低賃金の計算方法を具体的にお伝えしていきます。

最低賃金とは

最低賃金とは、最低賃金法にもとづき、会社(事業主)が労働者に支払う賃金の最低額を国が決めたものです。

最低賃金の種類

「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」があります。

地域別最低賃金

一般的によく知られているのは、この地域別最低賃金です。
都道府県ごとに決められている最低賃金です。

特定(産業別)最低賃金

地域別最低賃金よりも、高い金額水準の最低賃金を定めることが必要と認める産業に設定されている最低賃金です。

特定最低賃金も、都道府県ごとに対象となる産業が異なっています
弊所がある兵庫県では、鉄鋼業、輸送用機械器具製造業など9産業が対象となっています。(令和元年12月16日現在)

なお、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金はいずれか高い方の最低賃金を支払う必要があります。

最低賃金違反に関する罰則

地域別最低賃金に違反した場合は、
50万円以下の罰金

特定(産業別)最低賃金額に違反した場合は、
30万円以下の罰金となっています。

最低賃金の計算方法

最低賃金の計算時に対象とならない賃金(手当)等

最低賃金以上の給与が支払われているかどうかを計算する際には、対象となる手当等と対象とならない手当等があります。

対象となる手当等は、原則として毎月支払われている手当で、賞与など毎月支払われないものは対象とはなりません。

法律で最低賃金の対象とならないとされているのは以下のものです。

最低賃金の対象とならない賃金

(1)臨時に支払われる賃金
慶弔見舞金や大入り袋など

(2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
賞与など

(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
時間外割増賃金(いわゆる残業代)など

(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金
休日割増賃金(いわゆる休日出勤手当)など

(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
深夜割増賃金(いわゆる深夜手当)など

(6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
毎月支払われているものであっても、これらの手当は対象とはなりません。

最低賃金の計算方法:時間給制

最低賃金は時間額で設定されているので、時間給制の場合は、そのまま最低賃金と比較すれば良いことになります。

時間給≧最低賃金額(時間額)

最低賃金の計算方法:日給制

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
特定(産業別)最低賃金が、日額で定められていることがあるので、その場合は日給と最低賃金の日額を比較します。

最低賃金の計算方法:月給制

月給÷1ヶ月平均の所定労働時間数≧最低賃金額(時間額)
(月給×12÷(1年平均所定労働日数×1日所定労働時間数)≧最低賃金額(時間額))
具体例:
基本給:18万円
職務手当:2万円
通勤手当:1万円
合計:21万円
年間所定労働日数:260日
1日の所定労働時間数:8時間

1.給与合計21万円のなかで、最低賃金の対象とならない通勤手当1万円を除く
21万円-1万円=20万円

2.この金額を時間給換算する
(20万円×12)÷(260日×8時間)=1,153円(1円未満切り捨て)

最低賃金の端数処理に関しては、法律では特に定めがありません。

1,153円が最低賃金以上であればOK

出来高(インセンティブ)手当がある場合

出来高手当÷残業時間も含めた月間総労働時間数
で時間給換算します。
具体例:
基本給:18万円
出来高手当:2万円
時間外手当:1万円
通勤手当:1万円
合計:22万円
年間所定労働日数:255日
1日の所定労働時間数:8時間
当月の時間外労働時間数:10時間

1.基本給を時間給換算
(18万円×12)÷(255日×8時間)=1,058円

2.出来高手当の時間給換算
1ヶ月の平均所定労働時間数=(255日×8時間)÷12=170時間

2万円÷(170時間+10時間(当月の時間外労働時間数))=111円

3.1.と2.を合算し最低賃金と比較する
1,058円+111円=1,169円が最低賃金以上であればOK

基本給は時間給、手当は月額で支給している場合

基本給は時間給の場合の最低賃金計算方法で、月額の手当は月給制の場合の最低賃金計算方法でそれぞれ算定し、合算します。
基本給(時間給)800円
月の労働時間数:100時間
職務手当 10,000円
合計 90,000円
年間労働日数 240日
1日の所定労働時間数 5時間

1.職務手当を時間給換算する
(10,000円×12)÷(240日×5時間)=100円

2.基本給と職務手当(時間給分)を合算する
時間給800円+100円=900円が最低賃金以上であればOK

固定残業代を導入している場合

固定残業代を導入している場合は、固定残業代も通常の残業代(時間外労働手当等)と同様に扱いますので、最低賃金の対象からはずさなければなりません

ですので、月給に対して固定残業代の比率が多い場合は、特に注意してください

まとめ

繰り返しになりますが、月給制の場合は、最低賃金に違反していることがわかりにくことがあります。

毎月1回、最低賃金の見直しに合わせて、チェックをするようにしましょう。

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