介護休業給付金とはどのようなものか、パートも支給の対象となる?

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介護休業給付金とは? 労働法

「親の介護をしてるんやけど、これからは従業員もそうなってくるやろうね。」

「うちみたいな小さい会社だとしてあげられることは限られてるけど、少しでも協力してあげられたらとは思ってるんよ。」

「なんか介護に関して国とかからの支援ってあるのかな?」
とある経営者の方が、このようにおっしゃいました。

この経営者の方は、ご自身が親御さんの介護をされているということで、その体験をふまえて、従業員さんがもし親御さんを介護しなければならなくなったときは、会社としてサポートしていきたいという素敵なお考えをお持ちです。

従業員の介護を国が支援する仕組みが、雇用保険の介護休業給付金です。

この記事では、介護休業給付金とはどのようなものか?という介護休業給付金についての解説、そして実際の申請の流れをお伝えしていきます。

介護休業給付金の概要

介護休業給付金の概要

介護休業給付金とは?

介護休業給付金は、介護休業期間中(上限93日)、会社から給与が支払われないなどの一定の要件を満たす場合に、雇用保険から支給されるものです。

介護休業給付金が支給される人

1.雇用保険に加入し、介護休業を取得している

介護給付金を受け取ることができるのは、介護休業を取得しており、雇用保険に加入している従業員のみです。

対象となる介護休業についての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
「介護休業の取得条件や社会保険料の免除はある?介護休業制度の解説」

2.介護休業終了後、職場復帰する予定である

育児休業給付金は、職場復帰を前提として支給されるので、介護休業を開始する時点で、すでに退職することが決まっている場合は支給されません。

3.介護休業開始日前の2年間に、11日以上働いた月が12ヶ月以上ある

実際に11日以上働いた月が12か月以上必要です。

令和2年8月1日以降に介護休業を開始した場合は、11日以上働いた月が12ヶ月に満たなければ、80時間以上働いた月を1ヶ月とすることができます。

※休業開始前2年間に病気やケガ等の理由で、継続して30日以上給与が受け取れなかった場合は、その期間を2年間にプラスすることができます。(最大4年)

2年以内に転職してきた従業員の場合は、前職退職後に失業保険(失業給付)を受給していなければ、前職での加入実績を通算することができます。

パートタイマーなどの有期契約従業員の場合は、さらに以下の2つの要件があります。

1.同じ会社で1年以上続けて勤務していること
2.介護休業開始日から93日+6ヶ月経過するまでの間に、雇用契約が終了することが明らかになっていないこと(この期間中に、契約満了日がある場合は、契約更新されることが前提)
4.会社から支払われる給与が、休業前の8割未満である

介護休業中に、会社から給与が支払われている場合には、その給与額が、休業前の給与額の8割未満である必要があります。

休業前の給与額の計算については後ほどお伝えします。

5.介護休業期間中に出勤する場合は、月10日以下である

介護休業中に出勤をする場合は、就業していると認められる日が、月に10日以下である必要があります。

育児休業の場合と違い、月11日以上出勤しても、就業時間が月80時間以下であればOKという規定はありませんので注意が必要です。

この場合のひと月は、暦月や給与の計算期間のひと月ではなく、介護休業を開始日から1ヶ月ごとに区切った期間のことです。(これを支給単位期間といいます。)

介護休業給付金が支給される期間

介護休業給付金は、介護休業開始日から最長で3ヶ月の介護休業期間内に支給されます。

また、介護休業は分割で取得することができますが、介護休業給付金が支給されるのは、3回分までで、介護の対象となる家族1人につき通算93日が上限です。

介護休業期間の例

介護休業給付金の金額は?

介護休業期間中に給与が支払われないケースに限定して、介護休業給付金の金額についてお伝えしていきます。

小さな会社では、介護休業期間中に給与が支払われることはほとんどありませんので。

介護休業給付金は、休業前の給与の日額(休業開始時賃金日額)の67%が、休業した日数分支給されます。

介護休業給付金=休業前の給与の日額(休業開始時賃金額日額)×休業日数×67%

介護休業給付金の計算は月ごとに行います。
介護休業給付金の上限:月336,474円
※令和3年7月31日まで

休業前の給与の日額=介護休業開始前6ヵ月の賃金÷180
(賞与や臨時に支払われた給与は除きます)

介護休業給付金のおおよその目安(令和2年12月現在)

休業前の給与が月額15万円 10万円程度
休業前の給与が月額20万円 13,4万円程度
休業前の給与が月額30万円 20,1万円程度

(厚生労働省「介護休業Q&A」より
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html)

介護休業給付金の支給申請手続き

介護休業給付金の支給申請先は、事業所の所在地を管轄するハローワークです。

【申請に必要な書類】

1.雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
離職証明書と同じような様式で、出勤日数や給与額を記載します。これをもとに休業開始時賃金日額が決定されます。
2.介護休業給付金支給申請書

原則、マイナンバー(個人番号)の記載が必要です。

3.賃金台帳、労働者名簿、出勤簿又はタイムカード等
1.と2.の書類に記載した賃金の額、賃金の支払い状況を証明することができる書類
4.住民票記載事項証明書等

介護対象家族の方の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類

5.介護休業申出書(本人が会社に届け出たものの控え)
介護休業取得の申し出を書面で行うように、社内の規定・運用をしておく必要があります。

介護休業給付金の申請期限

介護休業終了日(※)の翌日から2ヶ月を経過する日の属する月の末日までとなります。
※介護休業が3ヶ月以上の場合は、介護休業開始日から3ヶ月経った日)

介護休業給付金の支給例

8月30日が介護休業の終了日なので、10月31日までに支給申請を行います。

この給付金は休業を終えてから申請するものなので、介護休業中の受給はできません
このことは、事前に従業員さんに伝えておいてください。
また、分割して介護休業を取得した場合は、支給申請も分割して行います。
実は、申請期限は上記のとおり設けられていますが、申請期限を過ぎても、育児休業給付金の権利が時効消滅してしまう、育児休業を終了した日の翌日から2年間の間に申請すれば、受給することができます

まとめ

まだまだ、介護休業そのものが社会的に浸透しているとは言えない状況ですので、介護休業給付金の申請をすること自体があまりないことかもしれません。
ただ、いつ誰が介護休業を取得してもおかしくない時代ですので、そのときに、介護休業給付金を活用して、少しでも従業員さんのサポートしていただけると幸いです。