役員報酬を複数の会社から受け取る場合、社会保険はどうなる?

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会社経営をされていると、
節税目的や、会社の経営を効率化するため、別事業をおこなうためなど、様々な経営上の理由から、複数の会社を立ち上げたり、知人・友人の会社の取締役や監査役になって欲しいとお願いされることがあると思います。

そうして、複数の会社で役員となり、各社から役員報酬を受け取ることとなった場合、社会保険はどうなるのか?というご質問を受けることがあります。

複数の会社から役員報酬を受け取る場合は、それぞれの会社で社会保険料を支払わなければならいケースと、支払わなくてもよいケースがありますので、この記事では、複数の会社から役員報酬を受け取った場合の社会保険の扱いについてのポイントをお伝えしていきます。

なお、この記事では、社会保険料負担が発生することを「被保険者になる」と表現させていただきます。

役員報酬が複数の会社から支払われた場合の社会保険

以下の前提条件で説明していきます。

A社:代表取締役 役員報酬 月100万円
B社:取締役 役員報酬 月5万円

原則はそれぞれの会社で被保険者となる

このように、2つの会社から役員報酬を受け取っている場合は、A社・B社それぞれの会社で被保険者になることになります。

つまり、A社・B社それぞれの会社が社会保険料を負担することになります。これが原則です。

ただし、このような場合でも、B社では被保険者にならないケースがあります。

B社で被保険者にならないケース

B社で被保険者にならないケースとして、「非常勤役員」の場合という説明の仕方を見聞きすることがあるのですが、「非常勤役員」であれば必ずしも被保険者にならないわけではありません

年金機構では、以下の6つの要素から総合的に判断するとしています。

1.事業所(この場合B社)に定期的に出勤しているか
2.法人における職以外に多くの職を兼ねていないか
3.取締役会(役員会)等に出席しているか
4.役員への連絡調整または職員に対する指揮監督をしているか
5.法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっているか
6.法人から支払いを受ける報酬が、社会通念上労務の内容に相応したものであって、実費弁償程度の水準にとどまっていないか

これら6つの要素を加えて、私がとある年金事務所の副所長さんにお聞きしたポイントをご紹介します。(2016年当時)

○非常勤役員で、役員報酬が少額だったとしても、企業経営の意思決定に関する重要な会議などに参加している場合は、被保険者となる可能性が高い

○月1回あるいは数ヶ月に1回程度でも、決まって出勤するのであれば、それは定期的な出勤になる。

○「役員報酬の金額はどの程度までなら、被保険者とならない水準と考えて良いのか?」という私の質問に対しての回答
→「それぞれの年金事務所の判断による。管轄内の事業所の非常勤役員の報酬額相場などから判断している。」

役員報酬の金額が、月額5万円程度であれば、あまり深く考えることなく、被保険者に該当しないと考えても差し支えはないかもしれません。※あくまでも私の個人的な見解です。

年金事務所の調査立ち会いで関与した例

具体的な金額は書けませんが、会社の規模から考えると、常勤取締役として勤務していないと受け取れないであろう金額の役員報酬を受け取っていた役員が、被保険者に該当しないという判断がされたことがあります。

内心では、「絶対に被保険者に該当するよな~」と思いながら、年金事務所の人とやり取りをしていたのですが・・・、なんと!でした。

これらから考えると、ざっくりとですが、ある程度の役員報酬が支払われていたとしても、ほぼ出勤することがなく、法人の業務に関与していなければ、「非常勤」と判断される可能性が高いのかなということになります。

ただし、繰り返しになりますが、管轄の年金事務所の判断に委ねらるという点は注意してください。

あと問題なのは、これに該当する場合、税務署からは、勤務実態がない役員に報酬を支払っているという指摘を受けて、この役員報酬を経費とすることを否認される可能性が高いということです・・・。

税務署対応は、顧問税理士さんと相談しないといけませんね。

複数の会社から役員報酬を受ける場合は社会保険の手続きが必要


ここまで、複数の会社から役員報酬を受けた場合に、被保険者になるのか、ならないのかの基準についてお伝えしてきましたが、実際に複数の会社で被保険者となるのは、社会保険の届け出をおこなった場合です。

複数の会社から役員報酬を受け取ることになった場合は、
「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」
を年金事務所に届け出でなくてはなりません。

A社とB社どちらを主たる事業所とするかを選択して、届け出を行ないます。

仮にA社を主たる事業所とした場合は、A社の被保険者として健康保険証が届きます。

社会保険料に関しては、2社の役員報酬を合算して算定されます。
A社の100万+B社の5万円=105万円が社会保険料を算定するための報酬額となります。

算定された社会保険料を、役員報酬の額に応じて按分して、それぞれの会社が納めることになります。

算定基礎届もそれぞれの会社に届きます。

ここまでお読みいただいて、「じゃあ、この届け出を出さなければ、役員報酬が合算されることはないんだ。」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、それはやめてください。

社会保険の届け出を怠った場合は?

年金事務所の調査が最低でも4年1回実施されていますから、その調査で届け出の漏れがあったと判明した場合は、2年間さかのぼって社会保険料を徴収される可能性もあります。

あとから、何十万、何百万円という社会保険料の支払うことになってしまいますので、正しい届け出をしましょう。

また、今後はマイナンバーの活用が積極的に行われるようになっていきそうですので、マイナンバーに紐付いた給与情報から、複数の企業から役員報酬を受け取っていることが発覚するかもしれません。(省庁間のデータのやり取りがどうなるかですね。)

ちなみに、役員ではなくても、従業員さんで、出向をしていて、出向元と出向先それぞれから給与が支給されている場合などは、二以上事業所勤務届の届け出が必要になることがあります。

出向をしている場合の社会保険の取り扱いについては、こちらの記事が参考になります。
「出向と転籍の違いは?雇用保険や社会保険の扱いはどうなる?」

まとめ

・複数の会社から役員報酬を受け取る場合は、原則、それぞれの会社で社会保険の被保険者となります。

・ただし、役員報酬の金額や、役員としての会社経営への関与の度合いなどを総合的に判断して、被保険者とならない場合もあります。この判断は、管轄の年金事務所によって差があります。

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