雇用保険と社会保険の加入条件や手続きの仕方をわかりやすく解説

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雇用保険・社会保険加入条件 雇用保険

新入社員が入ってくる予定だが、毎月入社の手続きをしているわけではないので、雇用保険と社会保険の加入条件や、手続きの仕方を忘れてしまった。というのは、よくあることです。

そこでこの記事では、

雇用保険と社会保険に入れる人の条件を確認したい。
必要な手続きの仕方や手続きに必要な情報や書類を確認したい。
と思われている方のために、

新しく社員を採用するときに必要な、雇用保険と社会保険の加入手続きの仕方などをわかりやすく説明していきます。

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雇用保険の加入条件と手続き

雇用保険の加入条件

1週間の所定労働時間(働く予定の時間)が20時間以上、かつ、31日以上雇用する見込みがある従業員は、正社員、アルバイト・パート問わず雇用保険への加入が必要です。

ただし、以下のいずれかに該当する人は、雇用保険の対象外となります。

・昼間学生や生徒
通信教育、夜間学部、定時制等の学生は加入対象となります。

・法人の役員
兼務役員で、労働者性が強いと判断される場合は加入対象となります。
この場合は、ハローワークで確認をしてもらう必要があります。

・複数の企業に雇用される者
複数の企業に雇用されている場合は、主たる給与を受けている企業で加入します。出向の場合などが該当します。
(参考記事)「出向と転籍の違いは?雇用保険や社会保険の扱いはどうなる?」

・事業主と同居している親族
取締役の地位にないなどの複数の要件を満たす場合は、加入対象となることがあります。

加入対象とならない人についての詳細は、こちらの資料を参考にしてくだい。
被保険者に関する具体例(PDFファイル)
厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(令和2年8月版)」より

雇用保険の加入手続きに必要な書類

従業員に準備してもらうもの

1.雇用保険被保険者番号がわかるもの
雇用保険被保険者証、離職票など
雇用保険被保険者番号の例「5061-377004-2」

雇用保険被保険者番号がわからない場合

「雇用保険の被保険者番号がわかりません。」というのは、よくある話です。このような場合は、職歴を記載した履歴書を添付することで、ハローワークが職歴から被保険者番号を探してくれます。

2.マイナンバーがわかるもの
マイナンバーカード、住民票など

雇用保険被保険者資格取得届の書き方

「雇用保険被保険者資格取得届」の様式はこちらのサイトから入手できます。
また、必要な項目を入力してからプリントアウトすることも可能です。
(ハローワークインターネットサービス)

提出先 :会社の所在地を管轄するハローワーク
提出期限:雇用した日(採用した日)の月の翌月10日まで
例:4月1日に雇用→5月10日までに届け出る

添付書類

1.主にパート・アルバイトなどで、雇用契約期間に定めを設けている場合は、雇用契約書や労働条件通知書の写し。

2.つぎのいずかに該当する場合は、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)の添付が必要となります。
(1)会社としてはじめて資格取得届の届け出を行うとき
(2)提出期限を過ぎているとき
(3)労働保険料を滞納しているとき
この他に、過去3年間に雇用保険の給付を不正受給した場合や、労働関係法令に関して著しい違反があった場合も同様に添付書類が必要です。

雇用保険被保険者資格取得の記入例

雇用保険被保険者資格取得届記入例(PDFファイル)
厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(令和2年8月版)」より

記入例と各項目の説明をお読みいただくと、
そんなに難しいことはないはずです。

記入例の補足

8.事業所番号
はじめて手続きをする場合は、空欄のままでOKです。

12.雇用形態
正社員は「7.その他」に該当します。

13.職種
職種一覧(PDFファイル)
(厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(令和2年8月版)」より)
この職種が違ったからといって、なんら不都合はありませんので、だいたいで大丈夫です。

社会保険の加入条件と手続き

社会保険=健康保険+厚生年金保険のことです。
この記事では、一般的に最も多くの企業が加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)を前提しています。

社会保険の加入条件

1.年齢要件
70歳未満・・・健康保険と厚生年金保険両方に加入
70歳以上75歳未満・・・原則、健康保険のみ加入

2.働く時間・日数の要件
1.の年齢要件に該当し、1週間の所定労働時間と1カ月の所定労働日数が、同じ業務に従事している正社員の4分の3以上の場合は社会保険への加入が必要です。

具体的な例:
正社員の1週間の所定労働時間が40時間、1ヶ月の所定労働日数が22日の場合

1週間の所定労働時間が30時間以上、かつ、1ヶ月の所定労働日数が17日以上の従業員は、社会保険の加入対象となります。

1週間の所定労働時間もしくは、1ヶ月の所定労働日数どちらかが、4分の3未満であれば、社会保険の加入対象にはなりません。

社会保険の加入手続きに必要な書類

従業員に準備してもらうもの

1.基礎年金番号がわかるもの
年金手帳など

2.マイナンバーがわかるもの
マイナンバーカード、住民票など

※基礎年金番号、もしくはマイナンバーどちらか一方で、取得手続きは可能です。

被扶養者がいる場合は、
「健康保険被扶養者(異動)届」の提出が必要です。
配偶者を扶養に入れる際には、
「国民年金第3号被保険者関係届」の提出も必要になることがあります。

健康保険・厚生年金 被保険資格取得届

様式はこちらのサイトから入手できます。(PDF版とExcel版あり)
日本年金機構ホームページ「従業員を採用したとき」

提出先 :会社の所在地を管轄する日本年金機構事務センター
提出期限:採用した日(または社会保険の加入要件に該当した日)から5日以内

原則、添付する書類はありません。

実務的には、60日未満の遅れの場合は、通常どおり処理をしてもらえます。60日以上の遅れの場合は、添付書類などが必要となります。
→社会保険の加入手続きの遅れについてはこちらの記事が参考になります。
「社会保険の加入手続きが遅れたときはどうする?ポイントは“60日”」

健康保険・厚生年金 被保険資格取得届の記入例

健康保険厚生年金保険資格取得届日本年金機構ホームページより

記入例の補足

1.事業所整理記号・事業所番号
はじめて手続きをする場合は、空欄のままでOKです。

2.⑨報酬月額
従業員に支払う予定の給与額を記入します。
通勤手当や残業代の見込額なども合算した金額を記入します。
賞与は除きます。

給与額によって、標準報酬月額が決定し、標準報酬月額にもとづいた社会保険料を毎月の給与から天引きすることになります。

標準報酬月額についてはこちらの記事を参考にしてくだい。
「標準報酬月額とは?標準報酬月額の計算や変更はどのようにするのか?」

はやく健康保険証が欲しい場合

たまに、病院にかかりたいので、はやく健康保険証が欲しいという従業員さんがいらっしゃいます。

ただ、どんなにはやく社会保険加入の手続きをおこなっても、健康保険証が届くまでには1週間はかかります。

また、世間的に入社人数が多い4月ともなると、2週間かかることもあります。

そこで、どうしてもすぐに健康保険証が必要だという従業員さんのために、つぎのいずれかの証明書を交付するという方法があります。

1.日本年金機構発行の健康保険被保険者資格証明書

メリット・・・公的な証明書のため、どの医療機関でも使える
デメリット・・・発行に手間がかかる(年金事務所の窓口か郵送で手続きを行なう)
様式は、日本年金機構のホームページにあります。

2.会社発行の健康保険被保険者資格証明書

メリット・・・すぐに発行ができる
デメリット・・・会社が発行する書類のため、医療機関によっては使えない
様式:健康保険被保険者資格証明書(PDFファイル)
記載例:健康保険被保険者資格証明書(PDFファイル)

まとめ

新入社員だけでなく、既存のパート・アルバイトの方でも、途中で働く日数や時間が増えたことによって、雇用保険や社会保険の対象となることがありますので、その際は忘れずに手続きを行ってください。